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自然環境実態調査-里山タイプ別の評価-

自然環境実態調査-里山タイプ別の評価-

谷津田

 本市は北と南の台地部の縁に谷津田が数多く存在し,調査地点30ヶ所のうち22ヶ所が谷津田である。谷津田は台地に刻まれた小さい谷に形成され,谷の低地部は水田やハス田に利用され,その周囲は林に囲まれている。谷津田にため池がある調査地点は2ヶ所であった。本来の谷津田は,背後にある台地や斜面に降った雨が浸透し,水は斜面と水田の脇からしみ出し,水路を流れて水田やハス田を潤すという基本的な環境構造をもつ。このような斜面林,土水路,湿田からなる谷津田は,農村に生息する生物にとって住みやすい空間となっている。しかし,生産性向上のために,従来の土水路がコンクリート水路に替わり,湿田が乾田になっている場所が見受けられる。このような場所は,カエル類ヘビ類などの小動物にとって,水路に落ちると登れないなど,生息しにくい環境である。。ほかにも,今まで水路を通じて水田やハス田に産卵のために遡上していた魚類は産卵できなくなる。これら小動物への影響は,食物連鎖の上位に位置するイタチ鳥類などの減少にもつながると考えられる。

 アカガエル類は,通常は林に生息し,早春に湿田等で産卵するため,林と水辺が隣接していることが必要であり,吸盤がないため,林と水辺の間を移動できるような連続性も必要である。このため,谷津田の自然度が高ければ見られる生物といわれている。アカガエル類の繁殖は20ヶ所(全30ヶ所中)で確認されており,比較的豊かな環境が残っていると考えられる。また,土浦市には湿田と類似の環境であるハス田が多くあるため,湿田環境は23ヶ所(全30ヶ所中)と比較的多く残されている。しかし,都和中地区の調査地点には湿田がなく,3月の調査ではアカガエル類の卵塊や幼生は確認できなかったが,最終的には4ヶ所全てでアカガエル類の繁殖が確認できた。湿田がないことは,アカガエル類の繁殖が遅れるなどの影響があると考えられる。

 谷津田の多くは入り組んだ場所にあり,耕作するには平地の水田より手がかかるため,近年荒地になっている所が目につくようになった。その荒地がない,または,少ない場所は14ヶ所,部分的にある場所は7ヶ所,多い場所は9ヶ所であった。半数以上の場所で荒地が見られており,ヨシガマだけでなく,ツル性の植物や外来種が侵入すれば植生が単純化し,生息する昆虫類などに影響を及ぼすと考えられる。

 今回の調査において,見た目の景観は緑が印象的な調査地点でも,生物調査を実施すると対象とする環境指標種が見られない場所があった。それは,本来もっていた谷津田の基本的な構造が一部欠けたり,失われたためと考えられる。

 谷津田にいろいろな生物が住める環境を整備するためには,林と水田をつなぐ道を造ったり,今,荒地となっている場所を活用し,早春に水がたまるような池を掘ったりすることが有効と思われる。なお,整備には地権者の理解が必要である。

ため池

     市内14ヶ所のため池のうち,この調査では5ヶ所を調査した。ため池は岸辺が土手ではなく,コンクリートや矢板護岸に改修されている部分があり,水域と陸域の連続性がなく,生物にとって住みにくい環境になっている場所がある。しかし,全ての場所で水生植物が繁茂しており,トンボ類鳥類魚類にとって良好な生息環境になっていると考えられる。5ヶ所のうち4ヶ所は,水生植物の生育形態が抽水植物のみであり,多様な生物が生息するには浮葉植物や沈水植物も必要であると考えられる。トンボ類は平均5種類確認されているが,種数が7~12種と多い場所は7ヶ所あり,そのうち4ヶ所にため池がある。それらの場所では止水域のトンボ類が見られるため,ため池の存在が種数に影響していると考えられる。

     ため池の環境を以前のような状態にするのは難しいが,岸辺が緩やかになるようにしたり,在来の水生植物を周辺地域から導入したりすることで植生を回復することが可能であると考えられる。また,水生植物が繁茂しすぎた場合は適度に刈り取る必要がある。

     市内の林の大部分は台地部の縁の斜面や台地上に立地する。調査地点の多くは谷津田の周囲にある斜面林である。斜面林は,台地部の宅地化の影響を受けて,幅が狭くなっていたり,道路などにより分断されたりして,消失の危険性がある場所が多い。調査した中には,谷津田ではない平坦な場所もあり,そのような場所では,屋敷林のような小規模な林だけであることもある。

     調査地点30ヶ所の中で,林の規模が小さい,または,ほとんどない場所は9ヶ所であり,調査地点の3分の1を占める。

     チョウ類の生息には,幼虫の餌とする食草や食樹が必要であり,成虫も好む環境が種類により異なる。幼虫が餌とする植物の種数が多くなれば,生息するチョウ類の種数も多くなると考えられる。林の規模が大きいほど,確認されたチョウ類の種数が多くなる傾向がある。また,オニヤンマは21ヶ所で確認されており,餌場となる林が一定規模で確保されていると考えられる。

     調査の結果,植林された二次林でも近年は適切な手入れがされていない場所が多い。林と開けた環境の境界(林縁)は,植物や昆虫等にとって,重要な環境であるが,クズ等のツル植物やアズマネザサに覆われてしまうと,植生が単純化し,昆虫類等に影響を及ぼすと考えられる

     林は,荒れた林縁の草刈りをしたり,林の間伐などの整備により,暗かった環境に光が射し,多様な植物が生えるようになると考えられる。

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