近年、県南地域を中心に、ジャンボタニシ(和名:スクミリンゴガイ)による水稲やレンコンなどの農作物への被害が増加しています。
ジャンボタニシは繁殖力が非常に強く、一度ほ場や水路に定着すると、被害を抑えるためには継続的・地域ぐるみでの対策が重要です。
ジャンボタニシとは
ジャンボタニシは、南米原産の大型の巻貝で、正式な和名を「スクミリンゴガイ」といいます。
成貝の殻高は2~7cm程度で、濃いピンク色の卵塊を水路や水田の畦畔などに産み付けます。
乾燥に強く、水がない状態でも半年以上生存することができます。一方、寒さには弱く、水温14℃以下になると活動を停止して休眠します。
ほ場や用排水路の土中に潜って越冬し、暖冬の年には越冬する個体が増える傾向があります。
また、繁殖力が非常に強く、年間20~30回程度産卵し、年間3,000個以上の卵を産むことがあります。
軟らかい植物を好むため、特に水稲の田植え直後の苗や、レンコンの幼葉などが食害を受けやすくなります。
被害を防ぐための主な対策
ジャンボタニシの被害を効果的に抑えるためには、一つの対策だけでなく、複数の対策を組み合わせて実施することが重要です。
水口にネットなどを設置する
取水口や排水口にネットや金網を設置し、用水路から水田内へのジャンボタニシの侵入を防ぎます。
目合いについては、9mm程度が適当とされています。
卵塊を除去する
ジャンボタニシは、水路や畦畔などの水面より上に濃いピンク色の卵塊を産み付けます。
卵塊を見つけた場合は、水中に落とすなどして駆除し、ふ化する個体を減らします。
卵塊の駆除は、一度だけではなく、定期的・継続的に行うことが重要です。
貝を捕獲・駆除する
水田や水路内のジャンボタニシを捕獲することで、農作物を食害する個体の密度を減らします。
市販のトラップなどを活用した捕獲方法もあります。
浅水管理を行う
田植え後は、できるだけ水深を浅く管理します。
水深を4cm以下、できれば1cm程度に維持することで、ジャンボタニシの活動や摂食行動を抑える効果が期待できます。
登録農薬を適正に使用する
田植え時など、ジャンボタニシによる食害が発生する前に、登録された農薬を適正に使用することで、被害を抑制します。
農薬を使用する場合は、必ず農薬のラベルに記載された使用方法、使用量、使用時期などを確認し、適正に使用してください。
また、散布後の漏水や農薬の流出を防ぐため、必要な水管理を行うことが重要です。
冬季に耕うんする
冬季にほ場を耕うんすることで、土中で越冬しているジャンボタニシを物理的に破砕するとともに、地表に出して寒風や低温にさらすことで、越冬個体を減らすことができます。
特に厳寒期(1~2月)に行うことが効果的です。
ロータリー耕うんを行う際は、ロータリーの回転を速くし、トラクターの走行速度を遅くすることで、破砕力を高めることができます。
冬季に水路の泥上げを行う
ジャンボタニシは、ほ場や用排水路の土中で越冬します。
冬季に水路の泥上げを行い、越冬場所を減らすことで、越冬個体の減少が期待できます。
苗を大きくしてから移殖する
ジャンボタニシは軟らかい植物を好むため、田植え直後の小さな苗ほど食害を受けやすくなります。
4葉以上の中苗から成苗を移植することで、食害を受けにくくし、被害の軽減につなげることができます。
田畑輪換を行う
水田を畑地化することで、ジャンボタニシが活動できる水環境をなくし、個体数を減らすことができます。
水がなくなると土中に潜って休眠しますが、1年ほどでほとんどの個体が死亡するとされています。
捕獲器の作成方法
季節に応じた対策
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時期 |
主な対策 |
| 冬季 | 耕うん、水路の泥上げ |
| 春季(田植え前) | 石灰窒素の散布、水口へのネット設置 |
| 田植え時 | 登録農薬の適正使用、成苗移植 |
| 田植え後~生育初期 | 浅水管理、卵塊の除去、貝の捕獲・駆除 |
| 夏~秋 | 卵塊・貝の駆除、水口ネットの管理 |
| 秋季(収穫後) | 石灰窒素の散布等 |
注意事項
ジャンボタニシの卵には神経毒が含まれているほか、貝には人体に有害な寄生虫がいる場合があります。
卵塊や貝を駆除する際は、素手で触らないでください。
また、捕獲した貝を生きたまま他の場所へ移動させると、被害を拡大させるおそれがあります。
参考情報
農林水産省「スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)の被害防止対策について」
農林水産省「ジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)の被害防止について」
農林水産省「スクミリンゴガイ防除対策マニュアル(移植水稲)」
茨城県「水稲-スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)」
茨城県県南農林事務所「ジャンボタニシによる被害を防ぐために」