法務省提唱啓発活動重点目標・啓発活動強調事項

 法務省の人権擁護機関では、毎年定める「啓発活動重点目標」のもと、「啓発活動強調事項」として掲げる17の項目を中心に、国民の皆さん一人一人の人権意識を高め、人権への理解を深めてもらうために、様々な人権啓発活動を実施しています。

令和6年度啓発活動重点目標~人権啓発キャッチコピー~

 法務省の人権擁護機関では、その時々の社会情勢や人権侵犯事件の動向を勘案して、年度を通じて特に重点的に啓発するテーマを定め、共通の目標の下に組織を挙げて人権啓発活動を展開しています。

人権啓発キャッチコピー「『誰か』のこと、じゃない。」

啓発活動重点目標・調査救済制度周知ポスター趣旨
 いじめや虐待、体罰、性犯罪・性暴力など、こどもが被害者となる事案が後を絶ちません。こどもの人権をめぐる状況は一層深刻化しています。こうした悩みを抱えながらSOSを発信できていないこどもに気付きを促し、その声に耳を傾け、必要な支援を行うことで、社会全体がその健やかな成長を後押ししていかなければなりません。引き続き、こどもの人権擁護のための啓発活動にしっかりと取り組みます。
 インターネット上の誹謗中傷や、差別を助長するような情報の発信といった問題の解消についても、引き続き取り組むべき課題です。携帯電話会社と連携した人権教室の実施や、SNS事業者等と連携した啓発サイトの活用などにより、被害者にも加害者にもならないためのインターネット利用のルールとマナーに関する効果的な啓発活動を行います。
 障害のある人、外国人、性的マイノリティであることなどを理由とする偏見や差別は依然として存在しており、その解消に取り組まなければなりません。多様性が尊重され、全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる共生社会の実現に向けて、引き続き取組を推進していきます。
 社会には、様々な人権課題が依然として存在していますが、これらは決して、自分以外の「誰かのこと」、「自分には関係のないこと」ではありません。法務省の人権擁護機関では、令和6年度も、誰もが人権問題を自分や自分の身近な人の問題として捉え、互いに人権を尊重し合うことの大切さを認識し、他人の人権にも配慮した行動をとることができるよう、「『誰か』のこと じゃない。」を啓発活動重点目標に掲げ、SNSを含むインターネットの積極的な活用、企業による人権尊重への取組に対する支援など、受け手を意識しながら、内容・方法ともに工夫を凝らした各種啓発活動を幅広く、効果的に展開します。

令和6年度啓発活動強調事項

 法務省の人権擁護機関では、毎年その年度の「啓発活動重点目標」を定めるとともに、具体的な課題として、「啓発活動強調事項」を掲げ、人権啓発活動を実施しています。

■女性の人権を守ろう

 家庭や職場における男女差別、性犯罪等の暴力、配偶者・パートナーからの暴力、職場におけるセクシュアルハラスメントや妊娠・出産等を理由とする不利益取扱い(マタニティハラスメント)などの人権問題が発生しています。誰もがお互いの立場を尊重して協力し合えるよう、この問題についての関心と理解を深めていくことが必要です。

■こどもの人権を守ろう

 いじめや虐待、体罰、性犯罪・性暴力などのこどもをめぐる人権問題が深刻化しています。こどもが一人の人間として、また権利の享有主体として最大限に尊重されるよう、この問題についての関心と理解を深めていくことが必要です。

■高齢者の人権を守ろう

 高齢者に対する介護施設や家庭等における身体的・心理的虐待、高齢者の家族等による無断の財産処分(経済的虐待)などの人権問題が発生しています。高齢者が安心して生き生きと暮らせる社会にするため、認知症への理解も含めて、この問題についての関心と理解を深めていくことが必要です。

■障害を理由とする偏見や差別をなくそう

 障害のある人が雇用の場面で差別待遇を受けたり、車椅子での公共交通機関の利用、アパートやマンションへの入居及び店舗でのサービスの提供等を正当な理由なく拒否されたりするなどの人権問題が発生しています。「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」の趣旨を踏まえ、障害の有無にかかわらず、誰もがお互いの人権を尊重し合い、この問題についての関心と理解を深め、偏見や差別を解消し、共生社会を実現することが必要です。

■部落差別(同和問題)を解消しよう

 部落差別(同和問題)については、インターネット上の差別的書き込み、結婚・交際、就職・職場における差別、差別発言、差別落書き等の人権問題が依然として存在しています。「部落差別の解消の推進に関する法律」の趣旨及び同法第6条に基づく調査の結果を踏まえながら、新たな差別を生むことがないように留意しつつ、真に問題の解消に資するものとなるよう、内容や手法等に配慮した啓発活動を展開し、この問題についての関心と理解を深めていくことが必要です。
また、部落差別(同和問題)の解消を阻む大きな要因となっている、いわゆる「えせ同和行為」を排除するための取組を行っていくことが必要です。

■アイヌの人々に対する偏見や差別をなくそう

 「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」では、アイヌの人々に対する差別の禁止に関する基本理念が定められています。先住民族であるアイヌの人々の民族としての誇りが尊重される社会を実現するため、同法の趣旨を踏まえ、アイヌの人々の歴史、文化、伝統及び現状に関する認識と理解を深め、偏見や差別を解消していくことが必要です。

■外国人の人権を尊重しよう

 外国人であることを理由とした就職差別、アパートやマンションへの入居拒否などの人権問題が発生しています。また、特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動がヘイトスピーチであるとして社会的な関心を集める中、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」の趣旨を踏まえ、その解消に向けた取組を推進していくことが必要です。
多様な主体が互いに連携し、支え合う共生社会を実現するため、文化、言語、宗教、生活習慣等の違いを正しく理解し、これらを尊重することが重要であるとの認識を深めていくことが必要です。

■感染症に関連する偏見や差別をなくそう

 エイズ、肝炎等の感染症に関する知識や理解の不足から、日常生活や、学校、職場等、社会生活の様々な場面で差別やプライバシー侵害などの人権問題が発生しています。感染症に関する正しい知識を持ち、正しい情報に基づく冷静な判断が重要であるとの理解を深め、偏見や差別を解消していくことが必要です。

■ハンセン病患者・元患者やその家族に対する偏見や差別をなくそう

 ハンセン病対策については、かつて採られた強制的な隔離政策の下で、患者・元患者のみならず、その家族に対しても、社会において極めて厳しい偏見や差別が作出・助長され、今なお存在することは厳然たる事実です。
ハンセン病患者・元患者やその家族が置かれていた境遇を踏まえ、ハンセン病についての正しい知識を持ち、この問題についての関心と理解を深め、偏見や差別を解消していくことが必要です。

■刑を終えて出所した人やその家族に対する偏見や差別をなくそう

 刑を終えて出所した人やその家族に対する根強い偏見によって、就職差別や住居の確保が困難であるなどの人権問題が発生しています。刑を終えて出所した人が更生するためには、本人の強い更生意欲と共に、周囲の人々の理解と協力により円滑な社会復帰を実現することが重要であり、この問題についての関心と理解を深め、偏見や差別を解消していくことが必要です。

■犯罪被害者やその家族の人権に配慮しよう

 犯罪被害者やその家族が、興味本位のうわさや心ない中傷などによって名誉を傷つけられたり、私生活の平穏を脅かされたりするなどの人権問題が発生しています。犯罪被害者やその家族の立場を考え、この問題についての関心と理解を深めていくことが必要です。

■インターネット上の人権侵害をなくそう

 インターネット上で、他人を誹謗中傷したり、個人の名誉やプライバシーを侵害したり、あるいは偏見や差別を助長したりするような情報を発信するといった悪質な事案が急増しています。このような情報の発信は、同様の書き込みを次々と誘発し、取り返しのつかない重大な人権侵害にもつながるもので、決してあってはなりません。
 個人の名誉やプライバシー、インターネットを利用する際のルールやマナーに関する正しい知識と理解を深めていくことが必要です。

■北朝鮮当局による人権侵害問題に対する認識を深めよう

 「拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律」により、我が国の喫緊の国民的課題である拉致問題の解決を始めとする北朝鮮当局による人権侵害問題への対処が、国際社会を挙げて取り組むべき課題とされています。この問題についての関心と認識を深めていくことが必要です。

■ホームレスに対する偏見や差別をなくそう

 ホームレスの自立を図るための様々な取組が行われている一方、ホームレスに対する嫌がらせや暴行事件等の人権問題も発生しています。この問題についての関心と理解を深め、偏見や差別を解消していくことが必要です。

■性的マイノリティに関する偏見や差別をなくそう

 性的マイノリティを理由として、社会の中で偏見の目にさらされ、職場で不当な扱いを受けたり、学校でいじめられたりするなどの人権問題が発生しています。「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」の趣旨を踏まえ、この問題についての関心と理解を深め、偏見や差別を解消し、共生社会を実現することが必要です。

■人身取引をなくそう

 人身取引(性的サービスや労働の強要等)は、重大な犯罪であるとともに、基本的人権を侵害する深刻な問題です。この問題についての関心と理解を深めていくことが必要です。

■震災等の災害に起因する偏見や差別をなくそう

 震災等の大きな災害の発生時において、不確かな情報に基づいて他人を不当に取り扱ったり、偏見や差別を助長するような情報を発信したりするなどの行動をとることは、重大な人権侵害になり得るだけではなく、避難や復興の妨げにもなりかねません。正しい情報と冷静な判断に基づき、一人一人が思いやりの心を持った行動をとれるよう呼びかけていくことが必要です。

このページの内容に関するお問い合わせ先

  • 【ぺージID】P-21105
  • 【更新日】2025年1月17日
  • 【閲覧数】
  • 印刷する
PAGE TOP