1 制度の概要について
この制度は,町内会・自治会をはじめとした「地縁による団体」が団体名義で不動産登記ができるよう法律上の権利能力を付与するために定められた地方自治法上の制度です。
町内会(自治会)等については,従来,法律上はいわゆる「権利能力なき社団」として位置付けられてきました。
こうした権利能力のない社団の資産については,構成員全員に帰属するものですが,構成員全員の名において登記することが困難なことから,代表者等の名義により登記が行われてきました。
しかし,個人名義による登記については,相続など財産上のトラブルが絶えず,各方面からこれらについての解決が求められていました。
こうした問題に対処するため,町内会(自治会)等が一定の手続きのもとに法人格を取得できる規定が,地方自治法の改正で盛り込まれました。これにより,町内会(自治会)等の名義で不動産などの登記ができるようになりました。
2 地縁による団体の定義
法律上,法人格を付与する対象としているのは,いわゆる町内会(自治会)等の地域的な共同活動を行っている団体です。
つまり,「町又は字の区域その他市町村内の一定の区域に住所を有する者の地縁に基づいて形成された団体」(第260条の2)と定義しています。
この地縁による団体は,一定の区域に住所を有すると言う「つながり」に基づいて組織されたものであるので,スポーツ同好会のように特定目的の活動を行う団体や高齢者クラブ,婦人会のように構成員に年齢,性別等の特定の属性を必要とする団体は,ここでいう地縁による団体に該当しません。
3 認可の要件
地縁による団体が法人格を得るには市長の認可が必要ですが,認可を受けようとする町内会(自治会)等は,次の4つの要件をすべて満たすものでなければなりません。
(1) その区域の住民相互の連絡,環境の整備,集会施設の維持管理等良好な地域社会の維持及び形成に資する地域的な共同活動を行うことを目的とし,現にその活動を行っていると認められること。
(2) その区域が,住民にとって客観的に明らかなものとして定められていること。
(3) その区域に住所を有する全ての個人は,構成員となることができるものとし,その相当数の者が現に構成員となっていること。
(4) 規約を定めていること。
※この規約には,(1)目的,(2)名称,(3)区域,(4)主たる事務所の所在地,(5)構成員の資格に関する事項,(6)代表者に関する事項,(7)会議に関する事項,(8)資産に関する事項が定められていることが必要です。
4 認可申請手続き
認可の申請を行うに当たっては,規約に基づき招集された総会において認可を申請する旨の議決を行うことが必要です。(役員会,評議会等での議決は認められません。)また,それ以外にも,認可を受けるために必要な事項(認可要件に合致する規約の決定,構成員の確定,代表者の決定,不動産等保有することとなる資産の確定など)の総会での決議が必要となります。
詳細については,必ず事前に市民活動課へ相談してください。
実際の申請にあたっては,以下の書類を提出することになります。
(1) 認可申請書
(2) 規約
※認可要件を満たす内容のもの
(3) 認可を申請することについて総会で議決したことを証する書類
※認可を申請する旨を決定した総会の議事録等の写しで,議長及び議事録署名人の署名・押印のあるもの
(4) 構成員の名簿
※構成員全員の氏名・住所を記載したものであること
(5) 保有資産目録又は保有予定資産目録
※申請時に不動産又は不動産に関する権利等を保有している団体にあっては保有資産目録,申請時に将来不動産又は不動産に関する権利等を保有することを予定している団体にあっては,所有予定資産目録
(6) その区域の住民相互の連絡,環境の整備,集会施設の維持管理等良好な地域社会の維持及び形成に資する地域的な共同活動を現に行っていることを記載した書類
※認可申請をする地縁団体の事業報告書,決算書,事業計画書,予算書等(総会に提出した報告書等)
(7) 申請者が代表者であることを証する書類
※申請者を代表者に選出する旨の議決を行った総会の議事録の写しで議長及び議事録署名人の署名・押印のあるものと,申請者が代表者となることを受諾した旨の承諾書等の写しで申請者本人の署名・押印のあるものが必要です。
6 地縁による団体認可申請の流れ
(1)皆さんで話し合い
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(2)市民活動課に事前相談,規約案等の作成
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(3)総会において認可を受ける旨の議決(申請の意思決定,認可必要事項の議決)
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(4)申請書類の作成,準備
↓
(5)関係書類を添えて認可申請
↓
(6)認可要件の審査
↓
(7)認可及び告示
↓
(8)告示事項の証明書(土浦市長が交付)を添付して法務局で不動産の登記
※証明書は,証明書交付申請書による請求に基づき交付します。証明書の手数料は1通300円です。
7 法人化後の手続き
(1)規約を変更するとき
規約を変更する場合は,事前に土浦市の審査を受けたうえ,各町内会(自治会)の総会で「規約変更の決議」が必要となります。
この場合の決議は,個人単位で行うことになります。その後,代表者から以下の書類を申請することになります。
(申請書類)
○規約変更認可申請書
○規約変更を総会で決議したことを証する書類(総会議事録抄本など)
(2)告示事項(代表者の氏名及び住所等)を変更になったら
法人化後,町内会(自治会)の代表者等が変更になった場合には告示事項の変更の届け出をする必要があります。
(申請書類)
○告示事項変更届出書
○告示事項変更を総会で決議したことを証する書類(総会議事録抄本など)
(3)認可地縁団体証明書の発行
土地・建物を町内会名義で登記する場合等,法人化後は様々な場面で認可地縁団体の証明書が必要になります。
証明書は,市役所市民活動課の窓口で発行しています。手数料は,1通300円です。
(4)印鑑登録について
認可地縁団体の印鑑登録手続き及び登録証明書の発行は,市役所市民課の窓口で行っています。
こちらの申請は,ともに代表者の方が行います。
(1)印鑑登録手続きで必要なもの
・登録する認可地縁団体の印鑑
・代表者の方の実印(市に印鑑登録している印鑑)
(2)登録証明書の発行
・手数料として1通300円。
※代表者以外の方が手続きをする場合は,委任状が必要になります。
(5)税金について
法人税や消費税,その他税に関する法令の規定は,従前どおり適用になります。法人税等においては公益法人等とみなされ,収益事業のみ課税対象となります。
詳しくは,税務署等にお問い合わせください。
◎土浦税務署 TEL029-822-1100
◎土浦県税事務所 TEL029-822-7212
◎土浦市役所課税課 TEL029-826-1111
(6)登記について
法人格の取得により,これまで町内会が保有しながら個人・共有名義となっていた不動産を町内会名義に移転することができます。不動産登記についての詳しい手続きについては,法務局へお問い合わせください。
◎水戸地方法務局土浦支局 TEL029-821-0783
8 認可を受けた団体の権利能力
認可を受けた地縁による団体は,法人格が付与され,その規約の定める目的の範囲内において,権利を有し,義務を負います。
この「権利を有し,義務を負う」とは法律上の権利義務の主体となることを意味するものです。
ただし認可後,法的な位置づけ及び取り扱いは変わりますが,住民の自発的な意思に基づく任意団体としての性格等は,全く変わるものではありません。
9 お知らせ(地方自治法改正関係)
・認可申請要件の変更(R3.11.26~)
認可地縁団体の認可の目的について地域的な共同活動を円滑に行うために,不動産等の保有の有無に関わらず,認可申請ができるようになりました。
・総会のおける表決権行使の電子化(R3.9.1~)
認可地縁団体の総会に出席しない構成員は,規約又は総会の決議により,書面による表決に代えて,電磁的方法により表決ができるようになりました。
・認可地縁団体同士の合併規定の創設(R5.4.1~)
認可地縁団体は市内の他の認可地縁団体と合併することが可能となりました。ただし、準備等が必要となりますので、事前にご相談ください。