結核の動向
昭和20年代まで「亡国病」と恐れられた結核も、今では医療と生活水準の向上により「薬を飲めば治る病気」となりました。
しかし、現代の日本では、高齢者と外国生まれの患者の結核が大きな課題となっています。高齢になるほど咳やタンといった自覚症状が乏しくなり、結核だとすぐにわからないことがあります。これは本人だけでなく家族や身近な人にとっても大きな問題です。
【パンフレット「結核の常識」】 [PDF形式/2.27MB]
結核の予防と早期発見
1 定期健診
感染症法では、高齢者における結核の発病を早期に発見するために、65歳以上の方は結核健診を受けることとなっています。
コロナ禍で健診や受診を控える人も多く、全体的に結核患者の発見が遅れているとの指摘もあります。
65歳以上の方は年に1回、結核健診を受けましょう。
2 普段の心がけ
普段から、(1)適度な運動、(2)十分な睡眠、(3)バランスのとれた食生活、(4)タバコを吸わないなど、抵抗力を高めておくことが重要です。
せき・たんが2週間以上続いたり、微熱や体のだるさが続く場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
3 予防接種
抵抗力の弱い赤ちゃんは、結核に感染すると重症になりやすく、予防のためにはBCG接種が有効です。日本の定期の予防接種では、生後1歳未満(標準的な接種は生後5か月から8か月の間)の小児にBCGの予防接種が行われています。市町村からの案内に従って遅くとも1歳未満に接種しましょう。
結核とはどのような病気ですか?
結核は、結核菌という細菌が体の中に入ることによって起こる病気であり、今でも1年間に1万人以上の方が新たに発症しているわが国の主要な感染症の一つです。
結核菌は主に肺の内部で増えるため、咳、痰、発熱、呼吸困難等、風邪のような症状を呈することが多いですが、肺以外の臓器が冒されることもあり、腎臓、リンパ節、骨、脳など身体のあらゆる部分に影響が及ぶことがあります。
特に、高齢者では結核を発症しても、症状が軽症のまま経過することがあり、また、小児では症状が現れにくく、全身に及ぶ重篤な結核につながりやすいため、注意が必要です。
結核はどのような場合に感染するのですか?
結核は、肺結核の患者さんの咳やくしゃみなどによって、空気中に結核菌が飛び散り、その結核菌を吸いこむことにより感染します。
人が生まれてはじめて結核菌を吸い込んだ場合、10~15%の人はその後1、2年のうちに発症しますが、それ以外の人の場合、菌は冬眠状態となり、体内に留まることになります。
発症しなかった場合でも、加齢などで身体の抵抗力が落ちると、潜んでいた結核菌が活動を始め、結核を発症します(発症するのは、菌が体内に留まったケースの10~15%程度と言われています)。
結核は人から人へ感染するため、人口密度の高い大都市で罹患率が高い傾向にあります。また、近年は結核患者の高齢化が進行しており、新たに結核患者として登録される方のうち、80歳以上の方の割合は約4割に上っています。これは、かつて結核がまん延していた時期に結核に感染したが発症はせず、現在、高齢となって発症する方(既感染発病者)が多いためと考えられます。
さらに、外国生まれの結核患者数も近年増加しており、特に若年層で増加傾向が目立ちます。
<関連情報>
令和6年度結核・呼吸器感染症予防週間リーフレット [PDF形式/224.72KB]
令和6年度結核・呼吸器感染症予防週間ポスター [PDF形式/206.22KB]